「常位胎盤早期剥離です」
「赤ちゃんは残念ながら・・・」
その言葉を聞いた時、私は診察室で強烈な痛みに耐えながらエコー画面を見ていました。
この前までエコー画面では動いていたはず。
なのに今回は全く動きがなく、白い影だけが映っていました。
この記事では私が2回目の妊娠で常位胎盤早期剥離を起こしてから産科DIC発症までの流れをまとめています。
この件があり私は卵管結紮を決意しました。
卵管結紮(ランカンケッサツ)を決意したわたしの気持ち。どんな手術?メリット、デメリットをまとめました。
前回:【妊娠出産レポ】入院期間は1ヶ月。入院費用はどうなるの?赤ちゃんがNICUに入院したときに母親である私がやったこと」
Contents
常位胎盤早期剥離が起こり産科DIC発症までの記録
当日私が常位胎盤早期剥離になった状況をまとめています。
胎動なんて感じている余裕がないぐらいおなかが痛い
当時妊娠36週0日。
里帰り出産のために実家いました。
朝起きてなんかおなか痛いなーという感覚でした。
第1子妊娠から妊娠高血圧症候群で今回も高血圧症候群疑いのため、血圧は毎日記録していました。
その時の記録は「150/100」。
血圧高めだけど緊急入院するほどでは・・・第1子の時は上の血圧が160で入院入だったし・・・
そんなこと思っている間も継続的な腹痛。
立ち上がるとひどい立ちくらみと耳鳴り。でも出血はない。
あまりにもしんどいので布団に横になり病院へ連絡。
胎動のことをきかれましたが、胎動なんて感じている余裕がないぐらい痛かったです。
内側から鋭利な刃物で刺されているような痛さがずっと続いていました。
病院に移動、そして宣告
実家の車で病院に移動。
到着後、いきなり車いすで診察室に運ばれてエコーを受けました。
そして
「言いにくいのですが、おなかのなかで残念ながら・・・・」
お医者さんから言われた言葉。赤ちゃんの心臓は動いてなかった。
「常位胎盤早期剥離です」
このままだと母体も危ないので、すぐ赤ちゃんをだしてあげる処置をするとのこと。
この段階では促進剤での分娩が計画されていました。
分娩の準備している間、夫や母親に連絡。
色々なことが重なりすぎて逆に冷静となりたんたんと状況を説明。
辛いはずなのに、なにも言わず聞いてくれてました。
産科DIC発症
そうこうしているうちに分娩室に担ぎ込まれました。
先生に子宮口触診してもらったとき「ドロッ・・・」とした感覚。
子宮口から出血していました。
出血したことにより危険と判断。
促進剤分娩を予定を変更し、緊急帝王切開へ切り替えられました。
その間も出血量が増え、とまる気配はない。
そして産科DICを起こしてしまいました。
DICが起きると血が固まりにくくなり出血し続けてしまう。
はやく赤ちゃんを取り出さないといけないのに、分娩も手術ができないという非常にまずい状況になりました。
出血がひどすぎて輸血するための準備をしますが、出血して血管が細くなっているため
なかなか輸血用の針がさせないという状況に。
先生や看護師さん6人ぐらいで、針をさせそうな血管みつけて針を刺す。
腕、手の甲、足首、足の甲…
最終的には輸血の針を首の血管に刺しました。
自分が体験しているはずなのに
この時はまるでドラマを見ているような感覚でまったく現実味がありませんでした。
手術室へ
輸血をしながら手術の説明。
なぜこんな状態でも説明を受けてサインをしないといけないのか・・・
と、意識がもうろうになりながら自分の名前を書いていました。
もう代わりにサインだれかやってくれ。
この間も出血は止まりませんでしたが、輸血をしたことにより、手術ができると判断。
手術の準備ができてストレッチャーに載せられオペ室へ移動しました。
手術室ではまた説明をうけましたが、もう痛すぎて聞こえません。
そして、マスクをして全身麻酔。
指示通りに息を吸うと意識が遠のいていきました。
意識が遠のいていく中、ただ強く思ったことがあります。
「まだ死ぬわけには、いかない」
常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)とは
赤ちゃんに酸素や栄養を送る重要な役割である胎盤。
通常は出産と同時にはがれるのですが、何らかの原因で分娩前にはがれてしまう病気です。
胎盤が分娩前にはがれてしまうと、赤ちゃんに必要な酸素、血流が止まり、酸欠状態になります。
早く赤ちゃんを取り出さないと母子ともに危険です。
早期で発見できれば助かる可能性はありますが
重度の場合は、胎児死亡率30%~50%、母体死亡率1~2%といわれます。
わたしも早く病院に行けばもしかして・・と今でも悔やみます。
漫画コウノドリでも取り上げられています。
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コウノドリでは”ソウハク“って呼ばれていましたね。
常位胎盤早期剥離のはっきりとした原因は不明
常位胎盤早期剥離のこと伝えたことある人から
と言われたこともありますが原因は不明です。
高血圧が一つの要因といわれていますが実際はわかりません。
原因はわからないのに心無い言葉を言ってくる人もいました。
【グリーフケア】赤ちゃんとお別れした友人に対して、あなたができること。そして死産したわたしがうれしかった言葉。
原因がわからないまま、赤ちゃんが死亡し、母親である私も産科DICを発症して死のふちをさまよいました。
産科DICとは
トラブルなく出産する場合はあまり聞かない言葉である「産科DIC」。
DICとは以下の通りです。
DICとは、Disseminated intravascular coagulation を略した呼び名で、播種性血
管内凝固症候群と訳します。英語も日本語も、長たらしくて堅苦しい名前のため、臨
床の現場では簡単にDIC(ディアイシー)と言います。血液は、血管内を流れているときには絶対に固まらないように制御され、酸素を含
め色んな物質を体内全体へ運搬し、様々な働きによって体全体を守ってくれていま
す。また、日常経験することですが、切り傷を負ったりして出血すると、血管から一
旦外に出た血液は即座に固まり始め(血餅・血栓)、切り傷からの出血を止める作用
(止血)も持っています。その重要な二つの作用が逆転した状態がDICです。何らかの原因によって、体内の
多くの細い血管内で血液が凝固し始めると、脳や肺、腎臓などの生命維持に必要な臓
器に障害が出始めます。さらに血液を固めるために必要な物質が大量に消費されてい
くと、続いて血管外で固めなくてはいけないのに凝固物質が不足して固まらなくな
り、最後は出血によって生命を奪われてしまう事になります。その原因を急いで取り
除き、体外からは凝固因子を補充したり、輸血したり、ありとあらゆる集学的治療が
行われます。
簡単にまとめると、
産科関係の何らかの原因で血管内の血液が固まってしまい、さらに続くと出血が止まらなくなる症状です。
DICになると血が止まりません。
胎盤はがれて大量出血して、はやく赤ちゃんをだして上げないといけないのに
大量出血で手術もできない状況。
これは大変危険な状況でした。
結局輸血をして血液量を増やして産科DICを乗り切ることができました。
常位胎盤早期剥離の徴候は?
一般的には、出血、胎動がない、下腹部の痛み、高血圧などが挙げられています。
私はこのような症状でした。
- 当日の朝下痢をしたような腹痛
- 継続的な痛み
- 立ちくらみ
- 耳鳴り
36週だから陣痛かなって思っていたのですが違いました。
陣痛は●分ごとの規則的な痛みなのに対して、胎盤剥離の痛みは継続的な痛みです。
胎動チェックというのがありますが、おなかが痛くて胎動を感じるところじゃないです。
出血がなくても胎盤がはがれている場合があるので、出血だけで判断するのは危険です。
常位胎盤早期剥離は迅速な対応が必要
私は朝おなかが痛くなり、3時間後に病院に行ったときにはもう手遅れでした。
「おなかがいたい、おなかがはっている」と感じたら
我慢せずにかかりつけの産婦人科に行きましょう。
看護師に「またか・・・」「その程度で・・・」って思われたらどうしよう・・・って言っている場合ではありません。
常位胎盤早期剥離は予測できません。
少しでもおかしいと思ったらすぐに動いてください!
我が子を守るために・・・
次の記事では手術後から火葬、退院まで流れをまとめます。
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